私の家の玄関ドアは引き戸。
引き戸には取手が付いているのだが、横着な私は鍵穴に挿した状態の鍵を取手代わりにして引き戸を開けるため、鍵がポキッと折れてしまった。
鉄製の鍵の厚みは1ｍｍほど、指では決して曲がらないのにポキッ折れてしまったことに、心も折れてしまった。
妻、「どうするの？」
私、「直すよ」
妻、「どうやって？」
私、「瞬間接着剤」
妻、「無理よ（笑）」
ホームセンターへ行き、一番強力な瞬間接着剤を買って来た。
瞬間とは書いてあるが、念の為に1時間以上、乾かした。
私、「引っ付いたよ」
妻、「貸して、私が開けるから」
私、「ヤダよ」
妻、「どうして？」
私、「折るから」
妻、「女の私で折れるなら、鍵としては使えないわよ」
高いお金を出して一番強力な瞬間接着剤を買ったのだから、これで鍵が開かなければ赤っ恥。
恐る恐る瞬間接着剤で補修した鍵を鍵穴に差し込むと、奥まで差し込めたのだが、
妻、「どうしたの？」
私、「・・・」
妻、「失敗なの？」
私、「・・・」
一番強力な瞬間接着剤で引っ付けたのに、鍵は何ら抵抗無く、またしても折れてしまった。
妻、「折れてなんかないわよ、最初から引っ付いてないのよ」
妻に言われなくても、そんなこと分かっている。ポキッの「ポ」も言わなかったのだから。
スペアキーならホームセンターで500円で作れるのだが、折れた鍵の複製は専門業者さんでしか出来ないため、家に来てもらった。
折れた鍵を業者さんに渡すと
業者さん、「ボンドでは引っ付かなかったでしょ？」
私、「はい」
業者さん、「何でも引っ付くかのような宣伝をしているので、折れた鍵も引っ付くと思っちゃうんですよ（笑）」
私、「・・・」
妻、「（笑）」
折れた鍵の修理費用は思っていたよりリーズナブル、こんなにリーズナブルなら、引っ付きもしない瞬間接着剤を買わなければ良かった。
