当時１人暮らしをしていたマンションは、オートロックで女性に安心の建物でした。ある時念願の彼が出来ました。自宅に来る事が多くなったし、彼は建築関係でかなり帰宅が遅くなる人なので、合鍵を渡す事に抵抗はありません。まず私が居ない時に来る事は無いし何の不都合もないので、持っていた合鍵を渡したのです。順調に付き合いは続いていましたが、やはり男女ですので山あり 谷ありは当然です。ちょっとした言い合いもありましたが、結婚を意識していたのでそのまま目を瞑って付き合いを続けていたのです。ですが、ある日あっけなく別れてしまう事に。彼を説得しましたが、考えが変わる事はなく泣く泣く別れる事に。その時あまりのショックに合鍵を返してもらう事を忘れました。いえ、いつか戻って欲しい思いを込めていたのかもしれません。そんな思いも虚しく戻る事なんてなく、私も立ち直っていた頃に、ある事件が起きたのです。何気に鍵の整理をしていた私はとんでもない事に気づきました。私の手元にあるはずの元鍵がありません。元鍵はシリアルナンバーが刻んである物ですが、それがない。頭が真っ白になり、一瞬途方に暮れました。何ヶ月もたっているので、彼に連絡したって処分しているに違い無いし、連絡も取りたくありません、はっと思い出しました。入居の際に鍵のナンバーを記した書類にサインして手元に控えとして持っていたのを。オートロックマンションは、自分の部屋の鍵だけ取り替えれば済むものではないので、弁償額を考えたら恐ろしいです。とりあえず鍵専門店にその紙を持って行って事情を話したら作れました。良かった良かった本当に良かったです。それから私は元鍵の扱いにひどく注意を払うようになったのです。
