母親、「大変、大変」
父親、「どうしたの?」
母親、「A子ちゃんの家に空き巣が入ったの」
A子ちゃんとは、私の幼馴染みで、学生の時から美人で評判な女の子(21歳)。
父親、「ただの空き巣なの?」
母親、「心配よね・・・」
私の両親が心配をするのは、美人で評判なA子ちゃんは前々からストーカーの被害に遭っていたから。
父親、「空き巣はどうやって入ったの?」
母親、「鍵穴をこじ開けたらしいわ」
父親、「A子ちゃんの家、うちと同じで古いからな」
母親、「近隣で空き巣が多発しているから、玄関の鍵を丈夫なものに変えない」
父親、「そうだな、うちにも歳頃の娘(私のこと)がいるからな」
すると、私の弟が「うちは大丈夫だよ」と笑いながら言った。
何が大丈夫なのかは、見当がつく。
母親、「ケンカしない!」
母親が叱ったのは、私が弟の頭をコツいた(叩いた)から。
数日後、玄関ドアは暗証番号で開くタイプの鍵に変わった。
父親、「これなら、鍵を失くす心配もないな(笑)」
他の家族、「・・・(失笑)・・・」
家族が失笑したのは、家の鍵を失くすのは決まって父親だから。
暗証番号で開くタイプの鍵は、鍵を持ち歩く必要がないため身軽、鍵を失くす心配もないため気軽。
暗証番号を知られたら困るため、辺りを警戒していると
弟、「誰も見てないよ」
弟の言葉には、私ではストーカーをされないという意味が含まれているため、軽くボディにパンチをしてやった。
夜、寝ようとベッドに入ると、家の外でタクシーが停まった。
帰って来たのは、酒を飲みに行き帰りが遅くなった父親。
差し込むタイプの鍵なら「ガチャガチャ」と金属音がするのだが、暗証番号で開けるカギだと2階にいては何も聞こえない。
暫くすると
父親、「お姉ちゃん、開けて」
お姉ちゃんとは、私のこと。
部屋の窓ガラスを開けて
私、「開けてって、暗証番号を忘れたの?」
父親、「うん」
私、「スマホは持ってる?」
父親、「うん」
父親のスマホに電話を掛け
私、「7」
父親、「7」
私、「3」
父親、「3」
私、「暗証番号を声に出さないでよ!」
父親、「ごめん、そうだった」
私、「最初から言うよ」
父親、「お願い」
私、「7」
父親、「7」
私、「だから、声に出すなって!!」
いちいち言うのが面倒なため、中から玄関ドアを開けてあげた。
誰が聞いているか分からないため、翌日、暗証番号を変えました。