炎天下の中、家の鍵を失くす!

炎天下の中、家の鍵を失くす!

友人はバリバリのキャリアウーマンで、年休消化もほとんどしないくらいの仕事人間。ところがそんな仕事人間である彼女には、一つだけ趣味がありました。それは、ゲーム。特に、とあるゲームの超絶ファンだったのです。そのゲームは彼女曰く、何年も新作が出ておらず、ファンの間では「いつ新作が出るのか」とため息が零れているんだとか。
しかしある日、とうとうそのゲームの新作が出たのです。その発表があった時、私にも彼女から喜びの雄叫びのLINEが送られてきました。
そんな筋金入りのゲームファンである彼女が、新作ゲーム発売日、休んでゲームを買いにいくのはある意味、当然のことではあります。ありあまる有給休暇を使い、同僚達に「何があったの?!」と心配されながら、彼女はルンルン気分でゲームを買いに行きました。彼女曰く「ダウンロード版じゃなくて絶対にパッケージ版を買う!」だそうです。
午前中に予約していたお店にゲームを取りに行き、うっきうっき気分で家に帰った彼女は、即座にゲームを起動させるつもりでした。
が。
家に入ろうとカバンを探ると、鍵がない。
あれ、と思って何度も探り、しまいには地面に座り込んでカバンの中をひっくり返しても、鍵は出てきませんでした。友人の家は3階建てのアパートの1階。エントランスなどはなく、それぞれの部屋の扉が、そのまま外に繋がっているという造りです。
ちなみに、この時は8月、超真夏。朝一でお店に行って帰ってきて、時間はちょうどお昼の12時になろうかという時間でした。つまり、友人はじりじりと照りつける太陽の下に直にいるわけです。
止まらない汗。ゲーム云々よりも、下手をしたら熱中症と脱水症状で倒れるかもしれない。彼女は慌てて、住んでいるアパートの管理会社に電話をしました。ですが、お昼で人が出払っているらしく、友人のところに到着するのに少し時間がかかる、とのこと。
そんなことを言っている間にも、友人は汗だくになり、なんだか意識も朦朧としてきました。
「このままゲームができずに死んでしまうんじゃないか…。そんなの死んでも死にきれない!」と彼女が思った矢先、お隣の部屋の扉に、小学生くらいの男の子が駆け寄ってきて、扉を開けようとして友人と目が合いました。
男の子は、汗だくの友人を見て、本当にぎょっとした顔をしたらしいです。たぶん、友人は死にそうな顔をしていたんでしょうね。そして慌てて、家の中に入ってその子のおお母さんを呼んでくれたのです。そしてお母さんもまた、友人を見て茫然として、友人を自分達の部屋に入れてくれたのです。
お隣とはいえ、ほとんど顔を合わせたこともないのに、と友人は感激し、お礼に男の子が攻略できないゲームを一緒に突破しました。自分がやりたかっただけでは、と私は思いましたが。
その後、管理会社の人が来て、友人は無事に家に入ることができました。
ちなみに、鍵はなんと、その日着ていた服の内ポケットから出てきたそうです。

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